2012年1月31日火曜日

柏崎刈羽原発5号機 2ヶ月弱も早く停止した「真相」

柏崎刈羽原発5号機 2ヶ月弱も早く停止した「真相」

最重要な制御棒駆動機構のトラブル停止

 東電は1月25日に突然「柏崎刈羽原子力発電所5号機の定期検査開始について」というプレスリリースを出し、5号機を止めると発表した。そして25日運転を停止した。
 
あれ?と思った。なぜならば、前回定検終了は2010年2月18日であり、本来ならば13ヶ月運転、すなわち3月17日まで動かせるはずだから。一月以上も早い停止は、何かあったに違いないと思った。

 調べてみたらすぐに分かった。なんと、制御棒駆動機構のトラブルだった。
 
1月20日のプレスリリースに「5号機 定例の動作確認試験における制御棒1本の動作不良について」という記事がある。週に一度の制御棒全185本の駆動試験中に制御棒の1本が15センチ(1ノッチ)挿入しようとしたところ168センチ(11ノッチ)入ってしまった。

つまり制御不能になった。

 そこで、この制御棒を全挿入した状態で固定したが、そのため出力が低下し、出力103万キロワットの原発になっている。このままでは安定的に運転できそうも無いため停止することにして、25日にプレス発表をしたのだろう。
 


この種の制御棒駆動系のトラブルは、原子炉臨界事故を起こす原因にもなっている。根本的な解決はできず、駆動試験の際に見つかると、一杯まで挿入してロックするほかには対策は無い。制御棒は原子炉停止の最重要装置であり、それが185本の中の1本であったとしても、放置したままの運転など到底許されることでは無い。




 電力供給に支障があるのか-全くない

 東電は冬ピークを約5400万キロワット程度としているようだ。その内訳では、原発が柏崎刈羽の5、6号機で250万キロワットを見込んでいた。3月17日頃まで5号機が動いていれば、おおむね冬ピークは終わるだろうから、その後に定期検査入りをしても何ら支障は無いはずだった。しかし、まだこれからピークが来る可能性がある時期に止めたということは、このトラブルがそれだけ深刻だからだ。ちなみにこれまでの冬ピークは1月20日の午後5時台で、4966万キロワットだった。
 このため、供給体制に修正が必要になった。おそらくはJパワーの磯子火力(石炭)だ。昨年11月に爆発炎上し休止していたが23日までに系統復帰し、2基合計で120万キロワットを供給できることになった。収支はぴったり合う。
 
さて、ドタバタ東電の原発はついに最後の一機、柏崎刈羽原発6号機のみ。
これが止まるのは予想では4月8日。

この時期は電力需要としては最低に下がる時期だ。

他の火力も休止点検に入るだろう。ますます停電の心配など無い。

ところがこの4月から大幅な電力値上げを東電は予定しているという。

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