2012年2月2日木曜日

経産省前テント村に撤去命令

経産省前テント村に撤去命令
  
再稼働やめて 訴え続ける
脱原発市民団体憤り

            (東京新聞1月26日「こちら特報部」より抜粋)

 経済産業省の敷地の片隅に脱原発を訴える市民団体のテント村がある。設置から約四ヶ月が過ぎた今月二十四日になって、枝野幸男経産相が退去と撤退を求めた。市民団体側は「絶対にどかない。国は狭量な態度な態度を取るな」と憤る。同省は防火上の理由を挙げるが、無理がある。突然の退去命令の裏には何があるのか。

 二十五日朝、活動を支える一人の渕上太郎さんは(六九)はテント内で使い捨てカイロを足に貼っていた。両足に五枚ずつ。「寒いのは大嫌いだけど、まあしゃあない」。上着を五枚重ね着し、マフラーを巻いても寒い。「政府が『原発の再稼働をしない』との明言をしたら、ただちにテントを退去するよ」。渕上さんだって、早く終わらせたい。
 枝野経産相は二十四日の会見で、撤去の理由を「火気の使用など危険行為は放置できない」ことを挙げた。ガソリン式発電機でぼや騒ぎがあったことを指しているが、問題が発生したのは昨年十二月三十日。既に一ヶ月以上たっている。
 
テント村は経産省を取り囲んだ「人間の鎖」をきっかけに昨年九月十一日に始まった。「九月十九日に明治公園で五万人集会が計画されていたので、十日ほど張る予定だった」が、「脱原発」を訴える人が寄り合う場として勝手に“成長”していったとう。

 ◇命にかかわるから抗議
  4ヶ月で延べ1万5000人訪問
  「よりどころ追い出さないで」
  ぼや騒ぎ 国は世論見極め排除?

 昨年十月末には福島県の母親ら約百人が三日間の座り込みを行った。テントが増設され、原発に反対する人の署名が増えていった。約四ヶ月間で、延べ一万五千人がテントを訪れた。「デモは参加しにくいけれど、テントはで座り込みならという人もいる。中学生からお年寄りまで集まれるのがテントの良い所だ」と渕上さん。
 「国は、私たちを追い出すなんてちっちゃいことにはエネルギーを使っている場合じゃないでしょう」と憤るのは、テント前で座り込みを続ける椎名千恵子さん(六五)だ。「原発いらない福島の女たち」の世話人で、十二月一日からは妊娠期間にちなんだ「とつきとうか(十ヶ月と十日間)もの長期間の座り込みを始めている。
 遠くから心配する人も多い。中国電力の上関原発建設に反対し、昨年九月、経産省前で仲間と十日間のハンストを決行した山口県上関町の岡本直也さん(二〇)は祖父母ほどの世代の人々を思いやり応援する。「ハンストもテント村も違法行為と言うけれど、僕の感覚からしたら、危ないものを『安全』だと言い張って、たくさんの人を被ばくさせ、土地を奪った人たちの方が犯罪的なことをしていると思う。命にかかわるからこうぎしている。その声を聞いてほしい」

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